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注目企業インタビュー

Interview

Vol. 02

損保業界の常識を覆したタイヤ保険

ゼアー少額短期保険株式会社 代表取締役 松岡 祥平様

■仕事編

Q.今の仕事を知った(始めた)きっかけ
もともと損保会社に勤めており、「相互扶助」「不安を安心に変える」という保険商品の営業に誇りを持っていましたが、同時に「かゆいところに手が届かない」ことがしばしばあり、これが原因で保険商品や業界の魅力が損なわれていることに、歯痒さを感じていました。
そんな中、「痴漢冤罪を守るための弁護士保険(ミカタ少額短期保険)」や「保険料ゼロ円から加入できるガン保険『わりかん保険』(JustInCASE)」など、オリジナリティ溢れる少額短期保険の存在を知り、これなら自分が実現したい、「既存の保険業界の不足を埋めることで、十分な安心の実現」ができるのでは、と思い、チャレンジしました。

Q.仕事内容について
①保険会社の設立・運営 ベンチャー事業ではありますが、少額短期保険業も立派なひとつの金融業である、ということで、設立時点で求められるヒト・モノ・カネのレベルは高く、その登録はなかなか険しい道のりとなっています。自身が立ち上げを志してから3年、今の環境で携わってから1年かかりました。
また、健全かつ透明な運営が当然に求められるため、最小限のインフラで生産性・効率性を重視しながら仕事をしています。

②保険商品の開発
少額短期保険の醍醐味と言える仕事だと思います。既存の常識にとらわれず、また既存の保険商品と融和性があるような、新商品の開発を行っています。前述の弁護士保険やわりかん保険も業界の常識を根幹から覆す程の衝撃的な商品でしたが、当社の商品である「あんしん!タイヤ保険」も、「タイヤは対象外」という損保業界の常識を覆し、かつ既存商品と競合せず補完するという性格を持っているため、売りやすい・買いやすい商品ともなっています。
今後の商品開発については詳細は明かせませんが、競合他社の出現も見据え、二の矢・三の矢を順次開発中ですので、ご期待ください。

③保険商品の提供・販売
いくら良い商品を作っても、売る人がいなければ、また買う人がいなければ、当たり前ですが成り立ちません。当社商品は「タイヤの保険」ということで、自動車に携わる業者との親和性が高いものとなっておりますので、直接販売ではなく、「自動車関連業者」や「自動車保険を販売する保険代理店」を中心に代理店委託を行っています。
また、保険という無形商品に対する購買意欲の引き出しについては、「信用力」や「納得感」が必要となります。これにおいても、いちベンチャー企業である当社の直接販売よりは、代理店経由のほうが効果的であると考えています。お陰様で大手タイヤ販売店様との取引も始まり、当社単体では決して実現できないブランディングやマーケット開拓に繋がっております。
なお、当社では営業に関してはほぼ外注しており、保険の販売は前述のとおり代理店経由、また代理店の開拓についても営業代行を委託し、生産性・効率性を図っています。

④事故に遭った方への保険金の支払
保険の特徴として、商品価値の発揮は購入時にあらず、事故のときに初めてその価値が発揮されるものとなっています。よって、当社の商品は当然「あんしん!タイヤ保険」ですが、当社の保険金支払担当者もまた、当社の商品と言っても過言ではないと考えています。
まだローンチして間もないため事故件数は多くありませんが、先日初めて保険金支払を行った際、お客様から御礼とお褒めのお言葉をいただき、改めて「社会のためになる、良い仕事をしている」という実感を得られました。
今後も弊社の経営理念・行動指針である「便利・喜び・感動の提供」および「お客様に必要とされ期待され、それに応え続ける」という理念の実現に向けて、より良い保険金支払・サービスの提供に努めていきます。

Q.自分でビジネスを始めて得た最大の教訓
月並みな話ですが、自分が過去に築き上げてきた自信や価値観は、起業後においてはほぼ役に立たない、というものです。
「保険業界の発展に貢献したい」と高い理想を掲げようと、また「とても良い画期的な保険商品を作ります」と謳おうと、人財募集や資金集めは失敗が続き、また取引先の開拓においても「販売くらいはしてくれるだろう」という甘い考えは打ち砕かれました。
経営理念にある「便利・喜び・感動」は、親会社オーナーの信条でありますが、まさに「お客様からお金をもらうこと、会社として利益を上げることは、『便利・喜び・感動』の対価である」ということを、身をもって実感しました。
目まぐるしく世の中が変わる中で、これらを実現するにあたっては大変なスピードと発想力が求められますが、不可能と決めつけず、可能性のまま終わらせず、可能とすべく努力していきます。

Q.自信を無くした時、逆境に立った時の対処法
「チクショウ!」と大声で叫ぶことですね(笑)。自分は溜め込むのが苦手で、ある程度ストレスが溜まったらすぐ吐き出してスッキリしています。また、周りの仲間に付き合ってもらって、酒を飲んだり愚痴を聞いてもらったりしています。
これには、経営者やリーダーが愚痴を周りにこぼすのは良いことではない、という意見もあると思います。もちろん、他人や環境のせいにしたり、失敗と向き合わないことは間違っていると思います。自分に何が足りなかったか、何ができたのか、をしっかり振り返りながら、「チクショウ!」と叫ぶことで、スッキリして次に向かうようにしています。そして、愚痴を言う、というよりは、付き合ってくれてありがとう、という仲間への感謝の気持ちになることで、ストレスも発散できている気がします。
あとは、負担をかけている家族への感謝の気持ちですね。自分は単身赴任のベンチャー起業家という立場で、家族にも寂しい思いや大変な思いをさせています。落ち込んでいる場合ではなく、一刻も早い夢・目標の実現に向けて、次に向かおうと思います。 つまり、「周りの人への感謝の気持ち」こそが、対処法ということですね。

Q.将来目指しているビジョン
「5年以内の年間収入保険料50億円達成」です。これは私が個人で起業しようとしていた際の夢・目標の実現にも繋がる話です。 少額短期保険会社は規制上、年間収入保険料(いわゆる売上高)の上限値が50億円までと定められており、これを超えた場合には、少額短期保険ではない保険会社となるか、分社して売上の分散を図るか、という形をとる必要があります。この場合、主に後者を採用している会社が多いです。
私はもともと生まれ育った神戸で起業を志していました。コロナ蔓延や見通しの甘さがあり、それは叶わず今は東京で雇われ社長という身で働いています。勿論、今の環境に不満はなく、むしろありがたい限りなのですが、やはり置いてきた家族と共に暮らしたい、そして神戸に少しでも貢献したい、という思いが強くあります。
個人的思いの吐露となりましたが、順番としては会社の成長、社員満足度の充実の先に、自分の夢・目標に繋がっているものです。その個人的野望を原動力として、実現に向け日々働いています。

Q.今、社内で足りてないリソース
ヒト・モノ・カネ・情報・信用、すべてにおいて十分ではありません。一方で、ただの高望みや環境のせいにするのではなく、今ある要員・商材・資金・ネットワークのなかで、生産性・効率性を出す工夫を心掛けています。
また、特に保険という事業は、無理をしすぎると資金面でもオペレーション面でも破綻しかねないビジネスとなっています。確たる成長を見据えながらも、アクセルフルスロットルではなく、一定のエンジンブレーキを効かせながらハンドリングしていきたいと思っています。
質問への回答にはなってないと思いますが、著名なIT企業の社長も、その大半が家賃最小のワンルームから始めたという先人の教えに学んでいきたいと思っています。また、質問の趣旨がBPOなどのビジネスマッチングを目的としたものであるならば、当社としてはどのようなお話も大歓迎です。

Q.成長(成功)のために必要なもの
自身はまだ成功した人間ではないので、偉そうに発言できる立場にありません。ただ、ひとつ信じているのは、「成功=努力×運」の方程式です。
非情な話ですが、いかに努力しようと、運が全くなければ成功できないと思います。その逆も然りで、いかに幸運に恵まれていても、努力が全くなければ成功できないと思います。
努力はPDCAで表され、計画・準備、行動、反省、継続、そして運は時の運と人の運に分類されると考えます。このうち時の運、例えばコロナ等は個人の実力では如何ともしがたいものですが、それ以外の要素は行動次第で広げられるものだと考えます。つまり、この中でも特に重要なものは行動力と言えるでしょう。
自分はまだまだ未熟で、時の運に見放されることもありましたが、幸いにも人の運に恵まれ、現在に至ることができています。行動を止めないことは勿論、しっかり計画・準備し、反省し、継続し、そして時勢を見極め、先見の明を持ちながら、成功を掴みたいと考えます。

Q.連携したい企業(業種)
BPOに関しては前述のとおりですが、目下連携したいという観点からは以下のとおりです。
①当社商品の販売代理店(特に自動車関連業や保険業)
②生産性・効率性の強化(特にBtoBtoCの営業代行)

Q.憧れ、または尊敬する人
経営者のなかでも特にゼロイチのビジネスモデルを作り上げている人たちは、私にとって憧れ、尊敬する人たちです。自身のキャリアビジョンの実現にあたって、いつも参考にさせていただき、また真似させていただいています。

Q.気になる企業、目指したい企業
前述の画期的商品を生んだ先輩方の会社は、特に意識しています。また、その先輩方も紆余曲折、苦難の連続にあると見聞きしています。業界発展・自己実現という志を同じくする同志として、若輩者ながら応援させていただくとともに、勝手ながらライバル視しています。

■プロフィール編

Q.子供時代について
大前提として親には感謝していますが、貧乏時代を過ごした子供時代でした。中学・高校時代は運動部に入りたいと言っても、お金がかかるから、弟に学費を残さないといけないから、と断固として許されませんでした。また、父親は土日も仕事だったので家族旅行の機会も全く無く、捨てられている週刊マンガを持ち帰って時間をつぶしていました。かといって勉強に勤しんでいたわけでもなかったのですが、学校の授業については要領よくこなし、地元では優秀とされる高校に入学できました。
大学もお金の都合上、浪人も下宿も許されなかったため、手頃かつ身近な大学に通いました。高校時代からやっていたアルバイトでのお金で念願の部活動に入ることができ、大学デビューと言っても過言ではない大学生活を思う存分満喫しました。
正直言って辛かった子供時代ですが、当時のハングリー精神が、今の自分を形成していると思っていますし、全く不幸であるとは思っていないです。むしろ、そんな環境下で兄弟揃って大学まで通わせてくれた親に感謝です。

Q.子供の頃に見た夢
幼稚園時代の夢は「なんでもできる人」でした。可愛げのない夢ですよね(笑)。また、高校時代の夢は「社長」でした。実現だけはしましたね。そのとき思い描いていた姿に早くなりたいものです。
また、中学から大学まで思い描いていたことが、「子供を幸せにする」でした。前述の自身の環境に反骨した夢ですね。現在は、私は全くその環境づくりに貢献できておらず、優秀な奥さんの手によって、貧しいながらも子供は幸せに育っていると思います。早く自分の手でこれを実現したいですね。

Q.駆け出しの頃に役立ったこと、出会いについて
私は本当に人の運に恵まれていると思っており、2回目の上司・先輩方や、取引先代理店の経営者たちは大変尊敬できる人で、多くを学ばせていただき、今でも自身の行動基準となっています。また、今でも公私ともにお付き合いさせていただいています。
さて、「2回目」という表現について、実は初配属の場ではいきなり事件の渦中にいました。「お前の人事評価は俺の匙加減で決まる」、という先輩の圧力からネズミ講商売に巻き込まれ、バイト時代にコツコツ貯めた金を注ぎ込まされました。また、それまでも他の社員や代理店がその先輩の被害に遭っており、長期間、大人数、かつ外部取引先まで巻き込まれていたということで大問題になりました。これが程なくして明るみになり、その先輩は懲戒処分、私は支店内異動、という形となり、解決に至りました。高い授業料でしたが、勉強になりました。

Q.仕事のために払った最大の犠牲
沢山犠牲にしたものはありますが、最大というと、「眼の爆発」ですね。
働きすぎと、プライベートの多忙が重なり、いきなり両眼から膿が溢れ出てきました。(写真もありますが、グロ画像のため控えたいと思います。ゾンビをイメージしていただければ、と。)
医者に診てもらったら、「ストレスで眼球内の毛細血管が爆発した」との診断結果でした。また年末だったので、その医者が診た2011年のワースト患者に認定されました(笑)。
発症後3日間くらいはほぼ視えない状態が続き、地面に這って移動していました。視力の大切さを身をもって痛感しましたね。
もう時効なので敢えて言いますが、プライベートの多忙を差し引いたとしても、労災事故でしたね。定められた退勤時刻になると電気が消えるのですが、残業のためにPCの光だけで暗闇の中延々と仕事をしていました。眼が先にギブアップしてくれたのですが、心身ともに限界に近かったと思います。その時から、健康への配慮や、残業のし過ぎには注意するようになりました。

Q.自分自身のモットー、座右の銘
①「ご縁を大切に」
…すべては人に在り。人に頼ることを厭わない。人に頼られることを幸せに感じる。
②「不可能はない。可能とするか、可能性のまま終わらせるか。」
…可能性のまま終わらせること自体は悪ではないが、不可能と決めつけない。
③「量から質」
…「量より質」は正しいが、その質を生むのは量を積んだ者である。
④「どっちも大事」
…プラスの意見もマイナスの意見も、どっちも大事な判断材料である。

Q.ご自身のセールスポイントについて
まだまだ未熟者であると自覚していますが、持ち前のハングリー精神で、貪欲に自身と会社の成長を追求し、ひいては関係するすべての人たちの役に立ちたいと考えています。


ご回答いただきありがとうございました。

ゼアー少額短期保険株式会社

Webサイト:https://tmi.co.jp/