■仕事編
Q.今の仕事を知った(始めた)きっかけについて教えてください。
2014年にイスラエルに渡り、現地で会社を起ち上げてイノベーションプラットフォーム事業を開始しました。創業の地をイスラエルに決めたのは、国民一人当たりのスタートアップ投資額や研究開発への投資を積極的に行い世界中に価値をもたらす技術が生まれるスタートアップ大国ということを知り、自らもグローバルに価値創出を行いたいと考えていたことがきっかけです。そこから、時間をかけて現地に根差して事業を成長させていき、5年程前に、友人を介して後に当社AironWorksのCTOに就任するGonenと出会いました。彼はイスラエル国防軍で重要な役割を担う特殊部隊であるUnit 8200出身の非常に優秀なエンジニアで、当社の技術力の要となる役割を果たしています。
Q.仕事内容についてのご紹介ください。
AironWorksは世界トップレベルのハッカー集団であるイスラエル国防軍 Unit 8200出身エンジニアが開発した、最先端技術を用いた『サイバーセキュリティシミュレーション教育プラットフォーム』です。
従来の標的型メール訓練ではカバーできないSNS (Facebook、Twitter、LinkedIn) やSMS攻撃など、多様なベクトルからの攻撃に対する訓練が可能になります。また、標的に応じて個別最適化された今日のサイバー攻撃に対抗するべく、継続的でより実践的な訓練を行えるシステムになっています。さらに、イスラエル国防軍の教育メソッド+ゲーミフィケーションを活用した「オリジナル教育プログラム」を実装して高い教育効果を実現します。
当社サービスが世界に広がることで、現在深刻な社会課題となっている、サイバー攻撃による情報流出や金銭的被害が発生するリスクを低減し、デジタル化が進む社会で最も重要な土台となる情報セキュリティの強化が実現可能となります。
働く人々・組織をエンパワーメントして、世界中の人々がデジタル化による利便性を安心して享受できる社会を実現することをミッションに、事業に取り組んでおります。
Q.自分でビジネスを始めて得た最大の教訓がございましたら教えてください。
自ら会社を起ち上げて経営していく中で、最も重要だと感じたことが、
・人との信頼関係
・意思決定と実行
の2点です。
イスラエルという異国の地で、会社を創業して、右も左も分からない中で、多くの方々にご支援をいただき、8年以上事業を継続してこれたのは、自らのミッションとビジョンを周囲に伝えて、その時々の自信が出せる最大の価値を発揮して、関係者の皆様との信頼関係を構築してきたからだと考えています。
また、事業を進めていくうえで経営者として最も重要なことは、ミッションとビジョンの実現に向けた一つ一つの意思決定を行い、それを確実に実行していくことです。創業当初は、自らの全責任で物事を決めることに迷いや不安を感じることもありましたが、経験を積む中で、自信を持って歩を進めることができるようになりました。
以上、2点を大切に誠実に事業に取り組むことが、成長の鍵であるというのが、これまで私が学んだ最大の教訓です。
Q.自信を無くした時、逆境に立った時の対処法がございましたら教えて下さい。
これまで会社を経営する中で経験すると言われるHard Thingsをほぼ漏れなく経験してきました。また異国の地で起業すると、それに加えて、Visaの問題や文化の違いによる摩擦など様々なトラブルに見舞われることがあります。正直最初の頃は、トラブル対応をするだけで精一杯な部分もありましたが、一通りの逆境を経験し終えた3年目辺りから、動じずに冷静に対応する能力が高まったように思います。
特に、創業から上場までご経験されている先輩経営者に悩みを相談した際のアドバイスが印象に残っており、それを聞いてから気が楽になりました。
先輩経営者 「大丈夫、大丈夫!上場まで、そして上場後、これからもっともっと大変な事があるから、そのくらいの悩みは序の口。俺でも、創業から上場まで持ってこれたのだから、寺田さんなら絶対できるよ。」
また、支援くださる投資家に悩みを相談した際、
投資家 「寺田さんは、大義を持って、社会の為に常に努力をしているから、絶対に成功すると思う。何か困ったことがあったらいつでも言って。」
と勇気付けられました。
ミクロの視点で、短期的な悩みや困難は数多ありますが、中長期的に成し遂げたいことの過程と割り切って、前向きに、楽天的に取り組むのが一番のポイントです。
そして、私自分の良いところとして、基本的にポジティブで、過去の困難はすぐに忘れて、進んでいけるところだと考えています。
Q.状来目指しているビジョンについて教えて下さい。
かつてのSONYやHONDAがそうであったように、再び日本のスタートアップが世界で輝けることを証明するためにAironWorksは日本発世界No. 1のセキュリティ企業を目指しています。
その大切な一歩として、クライアントが直面するセキュリティリスクを低減し、課題の解決に全力を注ぐ決意を持って仕事に臨んでいます。
Q.今、社内で足りてないリソースはございますか。
本気でグローバルNo. 1を目指すうえで、日本国内で圧倒的な成長を実現するための営業、マーケティング、サポート組織、そして海外の事業展開を進める為のネットワークと人的なリソースが足りていません。2022年は土台固めの1年でしたので、2023年以降は、その土台に立脚して飛躍していくことを目指しています。
Q.成長(成功)のために必要なものについて、何がございましたら教えて下さい。
ヒト
・優秀なチーム
モノ (+ヒト)
・優位性を確固たるものにする技術力
カネ
・成長を加速させる資本
情報
・売上を急拡大させる販売網
・AironWorksをご利用いただき満足したお客様の事例とフィードバックによる改善
Q.連携したい企業(業種)はございますか。
AironWorksは、金融、製造、IT業界のお客様、特にエンタープライズを最優先に営業活動を実施しており、その領域で販売連携ができる企業様を求めています。
Q.憧れ、または尊敬する人はいますか。
戦後日本の経済を牽引してきた起業家、経営者の皆様を尊敬しています。特に私は関西出身で、地元の起業家・経営者である、アシックスの鬼塚喜八郎さん、日清の安藤百福さんからは大きな影響を受けました。また世界を牽引するブランドをゼロから作られたソニーの盛田さんと井深さん、ホンダの本田宗一郎さんからも影響を受けています。
Q.気になる企業、目指したい企業はございますか。
自由闊達でオープン、テクノロジーでスケールを実現して社会をよくするという意味で、ビッグテックの中ではGoogleがベンチマークになると考えています。SaaSの文脈では、社会的な課題に対してプラットフォームとなり、総合的なソリューションを展開、仕組み化によって急成長を遂げるSalesforceも参考にしています。
Q. 失敗エピソードがあればぜひお願いします。
現在のAironWorksの実践型サイバーセキュリティ訓練・教育のプラットフォームの形に行き着くまで、複数のプロダクトコンセプトを試しては失敗して、ようやく顧客ニーズにフィットするものが開発できました。事業が成功するには、様々な試行錯誤が必要です。そして、ビジネスアイディアが実って社会にインパクトをもたらす確率は高くありません。だからこそ、長期的な視点で大義を持って取り組み、失敗を過程と考えて学びながら挑戦を続けることが大切だと信じています。
■プロフィール編
Q. 子供時代について、ご紹介ください。
運動するのが好きな活発な子供でしたが、身近な物事の原理について深く考えたり、絵を描いたり、遊びのルールを自ら作ったり、マクロとミクロの視点で創造的な活動に取り組むのが本質的に好きだったのだろうと思います。三つ子の魂百までと言いますが、まさに今挑戦している仕事も、世界を飛び回り身体を動かしながら、マクロトレンドの課題やテクノロジーを活用して、新たな価値創出をしていくという意味では似通った部分があります。今後ビジネスを通した挑戦で結果を出すことで、次代の子供たちのロールモデルになるような起業家になりたいと考えています。
Q.子供の頃に見た夢は何でございますか。
神戸で生まれ育ったのですが、阪神淡路大震災をきっかけに、地元の復興支援に取り組まれていた地元の起業家・経営者について知ることができました。そこから、戦後の起業家の自伝などを読むようになり、世界中で人々の生活をよくするビジネスを起こした戦後の経営者に憧れて、私も起業を志しました。
Q.駆け出しの頃に役立ったこと、出会いについて教えて下さい。
2014年イスラエルに渡ることを決意したタイミングで、サムライインキュベートの榊原さんに出会い、すぐに出資を決めていただきました。イスラエルに渡った直後、寝食をともにして、新天地で挑戦する中で、沢山のアドバイスと勇気をいただきました。
Q.仕事のために払った最大の犠牲は何でございますか。
イスラエルに行くまで全く意識していなかったのですが、家族と過ごす時間の大切さに気付きました。イスラエルの人々は毎週金曜日の夜、安息日に家族で集まり、シャバットディナーという夕食会を催します。日本でのお正月の集まりが毎週あるようなイメージで、家族との時間を大切にしているのがとても印象的でした。なかなか日本に帰国する機会は多くないのですが、可能な限り実家に帰って両親や家族に会うようにしています。
Q.自分自身のモットー、座右の銘について教えて下さい。
座右の銘は「初志貫徹」です。世界中の人々の生活をよくする、革新的な価値をつくるという志を持って会社を始めました。その大義を忘れず、信念を持って仕事に取り組み続けることを常に意識しています。
Q.ご自身のセールスポイントについてご紹介ください。
自身の強みは、
・大きな志
・未知の領域に飛び込む瞬発力
・どんな困難にもめげずに挑戦を継続する粘り強さです。
私は日本人として、世界で通用する、世界中の人々の生活をよくする、サービスをつくることを目指して挑戦をしています。その志を実現する最適な環境がイスラエルだと考えて、日本人が誰も起業していない、前例のない世界に片道切符で飛び込みました。それから8年間、紛争、VISA取得のハードル、COVID-19のパンデミックなど数多の困難にぶつかりながらも、腰を据えて挑戦を続けてきました。誰も想像もしなかった、取り組んでこなかったアプローチでチャレンジしているからこそ、大きなインパクトを生み出せると信じて今後も走り続けます。
■会社概要編
Q.サービス内容(一言で言うと?)
イスラエル国防軍の特殊部隊Unit 8200出身のホワイトハッカーと開発した、企業向け超実践型サイバーセキュリティ訓練・教育プラットフォーム。
Q.解決している課題
近年急増するサイバー攻撃への対応力を高めるサービスです。全世界で企業がサイバー攻撃によって被る金銭的被害は4兆円を超えます。その甚大な被害、課題を解決するためにAironWorksは、人のセキュリティレベル向上というポイントにフォーカスしてサービスを提供しています。
Q.顧客の価値提供
従来の訓練・教育システムでは実現できなかった、ハッカー視点のリアルな訓練と、各従業員のレベルに合った教育プログラムの提供を行うことで、セキュリティ担当者の工数削減と本質的なセキュリティ対策を実現しています。
Q.商品の特徴
イスラエル国防軍出身のホワイトハッカーが開発したAIを用いて、ハッカー視点で本格的な訓練が可能なところ。
AIによる自動化・効率化で工数削減に大きく貢献できる。
教育までワンストップで提供することで、従業員のセキュリティレベルが飛躍的に向上する。
Q.なぜ その特徴を実現できるのか?
イスラエル国防軍のUnit 8200という特殊部隊出身のホワイトハッカーたちが、軍隊での知見と高度なエンジニアリング力を活かして開発をしているので、その特徴を実現できています。
Q.比較されている競合他社
アメリカのKnowBe4やProofpointをベンチマークしています。
Q.競合優位性はどこにあるのか
競合他社がテンプレートを使った形式的な訓練に終止しているところ、AironWorksはAIを用いたリアルタイムデータを元に超実践的な訓練の実施しています。
ご回答いただきありがとうございました。
AironWorks株式会社 (AironWorks Co., Ltd.)